TPPは、日本が国民一丸となって克服すべき挑戦、その為には財源-経済の発展が必要です。

 日本は、参議院選後の7月23日、TPPに初めて参加します。私は、TPPに困難がないとか、TPPに参加すればバラ色の未来が待っているとかと言うつもりはありません。TPPは、日本に多くの挑戦を突きつけるでしょう。
 しかし、TPP絶対反対の方々が言うように、「TPPにNo」と言いさえすれば、この現状、今の日本が維持されれるわけではありません。アメリカは日本が参加しようがしまいが、TPPを開始します。私たちは、TPPに参加していない『今』と、TPPに参加した『未来』の選択を迫られているのではなく、TPPに参加している『未来』と日本だけがTPPに参加していない『未来』の選択、二つの「未来」のどちらをとるかの選択を迫られているのです。そしてその選択は、「どちらがより良いか」だけではなく、「どちらがより悪くないか」という苦渋の選択でもあります。

 私は、「東南アジア統一ルール」と言うものの強力さを考えたとき、日本がTPPに参加しないという選択は極めて困難であると考えます。私たちは、日本の未来の為に、困難を承知でTPPに参加し、国民一丸となって、日本の農業を守るべきなのです。

農家の所有農地は、EUが日本の9倍、
アメリカが日本の99倍と極めて低水準です。

 そもそも日本の農業は、TPPに参加する・しないに関わらず、現在危機的な状況にあります。現在全産業人口に占める農業人口は3.7%、このうち54%が65歳以上であり、農家戸数は5年で15~20%と言う猛烈な勢いで減少しています。この状況を放置したら、およそ15年で日本の農業は半減しかねません。

 このような状況を作っている最大の原因は、販売農家一戸あたりの平均収入が100万円台と、農業の採算性が極めて低いことであると考えられます。そしてその最大の原因は、日本の農家が1戸平均1.8ヘクタールの農地しか有していないことがあげられます。実際農業が比較的採算のとれる産業として成立しているEUでは一戸あたりの農地は日本の9倍の17ヘクタール、アメリカでは99倍の180ヘクタールとなっています。
 逆に言うなら、日本もEUとは言わないまでも、一つの農家が5倍の9haの農地を持つところまで集約化すれば、十分後継者を確保できる産業になるのです。

米の聖域化を達成し、所得補償で農家を守りながら農地の集約化を現実的に進める。

 日本の農業も今後を考えるなら、TPP交渉で米の聖域化を勝ち取ると同時に、農地の集約化は避けて通れません。ただし、現状を無視した急速な集約化は、実際うまく働かないでしょう。規模に応じた所得補償、撤退する農家への十分な支援、集約化のための仕組みづくりといったきめ細かい政策で、地域のコミュニティと両立する集約化を進める必要があります。

農協改革、株式会社の農地所有をはじめとした大胆な改革を!

 そういった地道な農業の集約化と並行して、株式会社の農地保有、そして農協改革という大きな問題にも、逃げることなく取り組まなければなりません。 私の実家は家族経営の養豚農家ですが、(有)セイジローという会社形態で経営しています。融資を受けるにも、農機具を買うにもその方がずっと良いからです。米作りでも同じです。本当にこれからやる気をもって農業をやっていこうという農家にとっては、会社形態出来ることは、むしろプラスです。不適切な農地運営をする会社は適切なルールで指導することを前提に、株式会社の農地保有は、むしろ農家の為に進めるべきことだと思います。

 農協改革も同様です。現在の農協は、農産物の出荷と、農業金融を独占しており、その独占力をもって、農業物販部門が高コストの農業用品を農家に押し付け、日本の農業の効率化を阻む原因になっています。解体というと刺激的ですが、農業出荷、農業物販、農業金融の3部門に分割することで、農業で儲けたお金は、より効率的な農業出荷の為に使ってもらうことが、農協、粗品により農家の為になると、私は考えます。

またそれと同時に、農協がひそかに大量に抱えている不良債権―返済不可能となっている農家の借金の整理に道筋をつけること-たとえば「農業負債買取機構」の様なものを作って、債権額の2~3割程度で買い取ること-農家の負債の一定割合を債務免除する事-が、農家のためにも、農業の効率化のためにも、農協発の金融不安を未然に防ぐためにも、必要です。

農家への所得補償、農地の集約化、農地保有の規制緩和、農協改革、農業債務の免除といった多様できめの細かい真の改革で、永続する、本当に強い日本の農業を作ろう!

 以上のように、農家への所得補償、農地の集約化、農地保有の規制緩和、農協改革、農業債務の免除といった多様できめの細かい真の改革で小規模農家もしっかり守りながら、現実的な集約化を進めれば、日本の農業は十分な採算ラインに乗り、後継者を確保し、さらには輸出、海外での生産すら可能だと私は思います。

 困難な点は多々ありますが、国民一丸となって取り組めば、必ずそれは超えられます。私は是非、永続する、本当に強い農業をこのにいがたに作りたいと思います。